Jリーグの試合日程が2026〜2027年で変わる。写真は、2025年J1リーグの鹿島アントラーズ対川崎フロンターレ戦の様子(写真:松岡健三郎/AFLO)
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
Jリーグの試合日程が2026〜2027年シーズンから大きく変わる。
1993年から2月ごろに開幕する「春秋制」で実施してきたシーズンを、欧州に合わせて8月開幕の「秋春制」へ移行する。6、7月の暑さの厳しい時期がシーズンオフになることで、リーグ全体のパフォーマンスの質向上という恩恵をもたらすとともに、開幕時期が欧州リーグと同じになることで、選手の移籍もスムーズになりそうだ。
Jリーグが目指すのは「世界標準」。各クラブの売り上げも1.5~2倍増を目指す中、鍵を握るのは「割安」との指摘もある海外クラブへの移籍金を評価に正しく反映させることだ。全世界で1兆3000億円が動く巨大な移籍市場で、欧州リーグとシーズン時期を同じくするJクラブの国際的な交渉力が問われる。
数十億で海外に移籍していく日本人選手たち
移籍金の市場価値4000万ユーロ(約68億円、5月30日現在)。サッカー選手の移籍情報サイト「Transfermarkt」上でこう評価されているのは、英プレミアリーグ、ブライトンでプレーする日本代表MFの三笘薫選手だ。
得意のドリプル突破を武器に、2022年ワールドカップ(W杯)のスペイン戦では、ゴールラインを割りかけたボールに食らいついて勝ち越し点をアシストした「三笘の1ミリ」で世界に強烈な存在感を解き放った。
そんな三笘選手がJ1の川崎フロンターレからブライトンに完全移籍したのは2021年。このとき、川崎に支払われた移籍金は300万ユーロ(約5億1000万円)だった。W杯日本代表やプレミアリーグでの活躍から市場価値は、4年で13倍以上に膨らんだことになる。
決して破格の数字ではない。ドイツ1部リーグの強豪バイエルン・ミュンヘンは2024年6月、同じリーグのシュツットガルトから日本代表DF伊藤洋輝選手を4年契約で獲得した。当時の報道によれば、このときの移籍金は、日本選手で過去最高となる2350万ユーロ(約40億円)だった。
伊藤選手もシュツットガルトへレンタル移籍する前は、Jリーグのジュビロ磐田に所属していた。伊藤選手がシュツットガルトへレンタル移籍し、その後の完全移籍した。磐田が受け取った移籍金はレンタル料10万ユーロ(約1700万円)と買い取りオプション行使額40万ユーロ(約6800万円)を合わせた50万ユーロ(約8500万円)だった。こちらは47倍増となった計算になっている。