食料インフレはいつ収まるのか(写真:Pla2na/Shutterstock.com)
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7月の参院選で、食料を中心にした物価高への対策は最大の争点となり、高まる国民の不満が与党の敗北につながった。日銀はコメなどの食料品価格上昇について消費者物価の押し上げ寄与は次第に縮小していくと考えるが、足元では食品値上げが止まらない状況だ。落ち着いていた生鮮野菜の価格も猛暑と雨不足の影響で再び上向いてきた。食料インフレの脅威は消えそうにない。

(志田 富雄:経済コラムニスト)

飲食料品の値上げ「2万品目に達するのは確実」

 帝国データバンクは主要な食品メーカー195社を対象に価格改定動向を調べ、毎月公表している。7月31日に公表した8月の動向では、飲食料品の値上げが1010品目に達し、前年同月に比べて349品目(52.8%)も増えた。

 値上げが1000品目を超えるのは3カ月連続だ。値上げ品目は今年1月から8カ月連続で前年同月を上回り、連続増加期間としては23年2〜7月を超え、22年の統計開始以来の最長を更新した。

 同社は、飲食料品値上げの勢いは昨年に比べて強い状態が続いていると分析する。24年は食品分野で内容量を減らして価格を据え置く企業が目立ったが、今年は本体価格を引き上げる動きが顕著だという。

 この勢いは止まりそうになく、10月の値上げ品目は3000品目を超え、今年4月(4225品目)に次ぐ値上げラッシュとなりそうだ。

 食料インフレが顕著になったのはロシアのウクライナ侵攻があった22年以降のこと。同年の値上げは2万5768品目、23年は3万2396品目、昨年は1万2520と勢いがやや衰えた。ところが、今年の値上げ品目はすでに11月までの公表分で1万9416品目に達している。

 帝国データバンクは「2万品目に達するのは確実とみられ、22年の水準に並ぶ可能性がある」とみている。食品インフレは鎮静どころか、ぶり返しそうな気配だ。

 なぜ食品インフレが長引くのか?