第2のきっかけは、地球温暖化への対応の声の高まりである。
温暖化という気候変動は、砂漠化、海面の上昇、大洪水の発生など自然の脅威を呼び起こし、農作物の不作から食糧問題を引き起こし、災害を増加させ、政治的不安定や経済の崩壊、国内紛争の誘発など社会の不安定化を生み、地域の不安定要素を倍加させている。
これは安定している地域においてさえ緊張関係を引き起こす。多数の避難民、難民、移民の発生と受け入れ、食糧不足、大雨や竜巻など過激な天候、自然災害の多発などが世界を脅かす。2007年、当時のジョージ・ブッシュ米大統領は、国連で次のように演説している。
「気候変動、エネルギー、食糧問題、そして安全保障は相互に関連し合っており、今後大きな課題になると認識すべきである」
今や地球温暖化への対処や省エネルギー化は、地球規模での文化の変革と言っていい。そして軍事分野が独りこの動きに例外であってはならず、他人事ではない。
省エネへ大きく舵を切った米軍
米軍は、地球温暖化への対応策として幅広い分野で具体的な施策を推進し始めた。国防省は現状を把握し、新たに導入する装備品の設計時の要求に整備性や効率性向上などとともに省エネ、環境への配慮を追加して二酸化炭素の排出を減らす努力を求めた。
米陸軍では特別なプロジェクトチームを編成して省エネの徹底を図り、部隊に具体的な省エネ目標値を求めた。
米空軍では、「需要を減らし、供給を増やし、認識を変えよう(Reduce Demand、Increase Supply、Change the Culture)」をモットーに掲げて省エネへの努力推進を訴えた。また化石燃料に代わるバイオ燃料活用の道を探り始めた。
米空軍は一昨年までに、すべての航空機でバイオ燃料が使用可能かどうかの確認を終えたという。
しかし米軍をはじめとする米国における急激なバイオ燃料へのシフトの予兆は、トウモロコシなど食料価格の高騰をもたらし、中南米諸国をはじめとする世界中からの批判を浴び、新たな資源を模索している。
