右翼ポール際への大飛球がファウルと判定され、首を傾げる中日・川越誠司(写真:産経新聞社)
労働組合日本プロ野球選手会は、7月23日に臨時大会を開き、「リクエスト制度」について、判定を審判団ではなく第三者機関を設けて行うようNPB=日本野球機構に働きかけていくことを確認した。
モヤモヤが残る判定
今年5月27日のヤクルト×中日戦で中日、川越誠司が右翼に打った際どい大飛球がファウルと認定された。中日の井上一樹監督は「リクエスト」を要求。審判団が映像を確認したが「ホームランと確認できる映像が見つからなかった」として判定は覆らなかった。
しかし、その後のニュースで流れた映像では、川越の一打は右翼ポールを巻いてスタンドインする「ホームラン」のように見えた。川越の一打はホームランであれば「逆転」だっただけに、NPB審判には大きな批判の声が集まった。
こうしたビデオ判定を巡る「疑惑」は毎年数件は起きる。プロ野球選手会はこうした状況を問題視して今回の見解表明をしたのだろう。
しかしプロ野球選手会も当然理解していると思うが、これは簡単な話ではない。
スポーツの現場に中継のテレビカメラが入ったのは、1950年代だとされる。1956年コルチナ・ダンペッツォ冬季オリンピックでは、RAI(イタリア放送協会)が初めてテレビ中継を行った。MLBも1950年代にはテレビ中継が始まった。
技術の進歩とともにビデオ再生やスローモーション再生もできるようになる。こうした映像がスタジアムからオンタイムで流れるようになると、審判のジャッジと映像が食い違うケースが出て来た。
そこで、NFL(アメリカンフットボール)では1986年から審判の判定の材料として「ビデオ判定」を導入した。NBA(バスケットボール)も2002年から導入した。