
プロ野球の一軍戦を観ていてもあまり感じないが、NPB12球団には、かなりの経済格差がある。それが如実に表れるのが「二軍本拠地」だ。
同じドラフトで入団したとしても、新人選手が入団した球団によって、練習、試合環境は大きく異なるのだ。
巨人の最新鋭二軍スタジアム
従来、NPBの「二軍」は、あくまで「選手の修練の場」であり、試合をしても「観客に見せること」は前提ではなかった。
特に、ウエスタン・リーグに所属するチームは、昭和の時代は一軍戦の「前座」として試合をすることが多く、入場料を取らない球団も多かった。
しかし近年、プロ野球人気が高まるとともに「二軍戦」の「興行化」を考える球団も出てきた。球団の経済力にもよるが、積極的に設備投資を行う球団がある一方で、従来の「育成目的」にとどまる球団もあり、それが本拠地球場の「格差」にもつながっている。
NPB球団の「二軍本拠地」は、二軍戦だけに参加しているオイシックス新潟、くふうハヤテ静岡の二球団を除き、すべて球団所有か指定管理者になっており、専用球場だ。他の地方球場とは構造や施設がかなり違う。
グラウンド内は、一軍球場と同じ芝や土を入れるなど整備が行き届いている。二軍選手に一軍並みの環境で経験を積ませたいからだ。しかし観客席は多くて数千席。規模は小さい。「お客が来ること」を想定していないのと、場内整理にコストをかけたくないという意向があるからだ。
またほとんどの球場が隣に「室内練習場」「サブグラウンド」「選手寮」を併設している。
二軍選手にとって「二軍本拠地」は、競技だけでなく生活の拠点なのだ。
しかし二軍球場にも新しいトレンドが生まれつつある。
今年、巨人と阪神は、新しい「二軍本拠地球場」をオープンさせた。
巨人の「ジャイアンツタウン スタジアム」は、従来の二軍球場と同じ京王よみうりランド駅が最寄りだが、旧球場から一山越した丘陵地にあり、シャトルバスもあるが、徒歩で行けばまるで金刀比羅宮のような急な階段を100段以上のぼることになる。

しかし真新しい球場は、コンパクトながらも観客席とグラウンドが近く、観戦しやすい球場だ。観客席は2900席。2階部分にあるコンコースは球場をほぼ1周することができ、回遊性を高めている。東京ドームと同じ人工芝を使用。ハンバーガーショップのほか、試合のある日はキッチンカーも出る。将来的には水族館を併設した「TOKYO GIANTS TOWN」となる予定になっており、周辺では工事が進んでいる。