中日の二軍本拠地は、かつての一軍本拠地の「ナゴヤ球場」。1948年開場、一時は登録有形文化財指定の話もあったレトロな球場だが、現在の規格に合わせるため外野席を撤去するなど数次の改装を行った。JR尾頭橋駅、名鉄山王駅から徒歩7分。住宅街の中にある。今の観客席は4500席ほど。売店もあり、ビールの売り子なども出る。最近の新しい二軍本拠地に比べれば、率直に言って見劣りするが、昭和の球場の雰囲気を残している。

ナゴヤ球場は現在、ドラゴンズの二軍の本拠地となっている(写真:産経新聞社)

老朽化や一軍との連携強化を理由に相次ぐ二軍本拠地の移転

 日本ハムは北海道北広島市が本拠だが、リーグ戦の移動の負担を考え、二軍は千葉県鎌ケ谷市に置いてきた。「ファイターズ鎌ケ谷スタジアム」は、東武鎌ケ谷駅からバスで10分。客席数2400席。二軍専用マスコットカビー・ザ・ベアーがいるほか、スタジアムMCも二軍専任だ。一軍本拠地から離れているためか、地元愛の強いファンが多い。大谷翔平、ダルビッシュ有などこの球場で育った選手の写真も掲げられている。

 だが、やはり北海道と千葉とでは距離が離れていることで、一軍と二軍の連携に課題があった。そのため、球団は二軍本拠地を鎌ケ谷から北海道に移転する方針を固めたと報じられている。近々正式に発表される見込みである。

日本ハムの鎌ケ谷スタジアムのマスコット・カビーと、2023年ルーキー鎌スタお披露目会でカビーの似顔絵コンテストで優勝した矢沢宏太(写真:産経新聞社)

 DeNAの「横須賀スタジアム」は横須賀市が所有し、DeNAなどが指定管理者になっている。京急追浜駅から商店街を抜けて15分。1949年開場の古い球場だが、97年に全面改装されている。観客席は5000席。ナイターが多いが、やや照明が暗い。ファンが出待ちする姿がよく見られる。

 隣接してDeNAの本格的な室内練習場や計測機器を備えた「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」がある。

 埼玉県下には西武のほか、ロッテ、ヤクルトの二軍本拠地が存在する。

 西武は、12球団で唯一、一軍と二軍の本拠地球場が同じ敷地内にある。西武球場前駅から徒歩5分。ベルーナドームに隣接する「西武第二球場」での二軍戦は、かつては無料だったが、ベンチは数十席しかなく観客は土手に腰を掛けて観戦していた。「試合を見せる」意識がないのでは、と思われたが2020年に改装を行い、バックネット裏に240席の客席を持つ「CAR3219フィールド」になり、チケットも有料となった。

 ロッテの「ロッテ浦和球場」は、JR武蔵浦和駅から徒歩で10分ほど。ロッテの菓子工場を右手に見ながら歩くと、同じ敷地内に見えてくる。入場ゲート周辺には雑草が生い茂り、なかなかワイルドな環境だ。内野の土手にプラスチックのベンチが200席ほど。ここもネットが張り巡らされ、観戦環境は良くない。老朽化に伴い、今年、早ければ28年から千葉県君津市に本拠地を移転することが決まった。

2020年1月、浦和球場で行われたロッテの新人合同自主トレに参加、ノックを受けた後にグラウンドをならす佐々木朗希(写真:産経新聞社)

 ヤクルトの「ヤクルト戸田球場」は、JR戸田駅から西へ2.7km、公共交通機関はない。武蔵浦和駅からバスで行くことは可能。1977年開場。荒川の土手にあり、台風時にはしばしば球場全体が水没する。台風が接近すると球場スタッフが用具や機器を撤収させる。

ヤクルト戸田球場。台風などで荒川が増水すると水没することも(写真:産経新聞社)

 一応内野席は250席ほどあり試合観戦は有料だが、入場しなくても三塁側の荒川土手から観戦できる。牧歌的な風景である。

 ヤクルトも今年、27年シーズンから茨城県守谷市に二軍本拠地を移転すると発表した。