FIREより労働?(写真:yoshi0511/Shutterstock.com)
フリーランスの麻酔科医でもあり、ボルダリングジム経営者でもある個人投資家のたーちゃん氏は、緻密な財務分析、業界研究により、元手50万円から始めた株式投資で資産70億円を築いた。この間、40代でがんを宣告され、49歳で肺と肝臓へのがん転移が判明。主治医からは「50歳は迎えられても、51歳は分からない」と宣告された。50歳を前に、2人の愛娘に向けて投資手法を指南するスタイルで出版した『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)は7月2日の発売後、わずか5日で9万部を突破した。たーちゃん氏に、投資手法やFIRE(Financial Independence, Retire Early)への考え方について聞いた。(2回に分けて掲載)。
(種市 房子:ライター)
(前編)50万円→資産70億円!個人投資家たーちゃんが明かす、いま注目のセクターと銘柄…シクリカルバリュー株とは?
——前編では、シクリカルバリュー株についてお話しいただきました。バリュー株にはそのほかにどのような種類がありますか。
たーちゃん:収益力に対して株価が割安な「収益バリュー株」と、資産に対して株価が割安な「資産バリュー株」の2種類があります。収益バリュー株で私が投資したのは、「業務スーパー(通称、業スー)」を展開する神戸物産です。今でこそ全国でFC展開していますが、2006年の上場前は私の地元・兵庫県など限られた地域でしか展開していませんでした。
たーちゃん 1975年兵庫県生まれ。広島大学医学部卒の現役麻酔科医。1998年、元手50万円で株式投資をスタート。バリュー株主体の投資で2005年に1億円、2020年に10億円、2024年に50億円に到達する。2022年がんが発見され、翌年がんが再発。4度の手術を経て2024年、49歳で肺と肝臓へのがん転移が判明。主治医からは「50歳は迎えられても、51歳は分からない」と宣告される。著書『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)では、バリュー株の探し方、売り時、確認するべき指標を詳細に解説している。 X(@yhdgj675)は約3万フォロワー。(イラスト:Meppelstatt)
——何が投資の決め手になったのでしょうか。
たーちゃん:当時、私の自宅の近くにイオンのショッピングセンターが完成したのですが、近くにある業スーはまったく客が減らないのです。「業スーは全国展開したらマジ強い」と確信しました。会社の資料で確認するとフランチャイジーのロイヤリティー(支払い対価)率は低い。加えて、当時は稲美町にある本社を実際に見に行ったら簡素な建物だったのです。「最高だ!コスト意識が高い」と投資を決断しました。
BtoC(消費者向け)ビジネスへの投資を検討する場合、営業実態を自分の目で確認できる銘柄を優先するのが良いでしょう。私が買ったのは時価総額が80億円ぐらい、売ったのは240億円ぐらいのころ。でも今は1兆円を超えています。結果論ですが、売却が早すぎたと反省しています。
——資産バリュー株の投資実績は。

