16球団構想の持論を展開した王貞治氏(写真:スポーツ報知/アフロ)
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
日本のプロ野球(NPB)で、現状の12球団から球団数の拡大を求める声が出ている。
今年5月に設立された、野球振興などを目的とする一般社団法人「球心会」の代表を務めるソフトバンクの王貞治球団会長が16球団構想の持論を披露。日本のプロ野球選手会も7月17日のNPBとの事務折衝で、「野球の普及や活性化」の観点から1軍球団数の拡大を訴えた。
日本球界は、普及面で競技人口の減少に歯止めが掛からず、ビジネス面でもメジャーリーグに、ドジャースの大谷翔平選手ら日本人選手の活躍を追い風に日本市場へ攻勢をかけられる。
2004年の球界再編騒動時に球団数削減の危機に見舞われた後、NPBの各球団は本拠地ファンを大切にする地域密着路線へ本格的に舵を切り、観客動員数は昨年に過去最多を更新するなど好調に推移する。エクスパンション(球団数拡大)によって市場規模を膨らませてきたメジャーに対し、1958年から1967年にわたって12球団を堅持してきたNPBの変革はありうるか。
「将来的には20球団くらいにしたい」
「今、12球団でしょ。あと4つぐらい増やしたい、(将来的には)20チームくらいにしたいね」
王氏がかねてよりの私案を改めて披露したのは、6月26日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」でのインタビューの中でのことだ。
この日は、プロ・アマの垣根を越えて野球振興を図っていくための一般社団法人「球心会」の設立会見が東京都内で開かれた。会の代表に就任したのが、日本の野球界の未来に強い危機感を抱く王氏だ。
