「金利のある世界」で検討しうる選択肢
ちなみに、1980年代後半まで遡り、個人向け国債が発行されていなかった時期も含めた「10年国債利回り×0.66(下限0.05%)」の水準がどのような経過をたどったのかを図2で示している(個人向け国債変動金利型の利率決定方法は、2011年に現在の方法に変更されていることもあり、個人向け国債の利率とは異なる)。

将来も利率決定方法が維持され続けるとは限らないが、1990年前後の金利上昇局面を除くと、定期預金金利よりも「10年国債利回り×0.66(同)」の水準が上回っているケースが多く、足元もこの関係が続いている。ただし、インフレ率を上回るほどには至っていないため、十分なインフレ対応策とは言いがたい点は否めない。
それでも、「金利のある世界」に戻ってきた昨今、制度上、比較的リスクが限定的とされる金融資産は、定期預金以外にも存在している点は再認識しておきたい。個人向け国債に限らず、あらゆる選択肢が検討しうる時代に入っているからである。
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