変動金利型の個人向け国債とは
足元では、インフレ率は上昇し、定期預金金利を上回り、「消費者物価指数>定期預金金利」という関係に変化しているため、定期預金では金融資産の購買力が低下する事態が続いている。こうした背景のもと、定期預金以外の安定的な資産保全手段についても関心が高まりつつある。
その選択肢の一つとして、2003年3月から発行が始まった個人向け国債(変動金利型10年満期)を確認しておきたい。
個人向け国債の中で変動金利型は10年満期の国債であり、半年ごとに利率が変動する。国債市場の10年国債利回りに連動する基準利回りに0.66を掛けた金利が適用される(10年国債利回りが低下しても、基準利回りの下限は0.05%と定められている)。
そのため、物価上昇に応じて国債利回りが上昇する際には、利率もある程度追随する。通常の国債のように、発行時の利率が固定されていないため、世の中の金利上昇に応じて債券価格が下落するタイプの固定利付債とは異なるわけだ。
ただし、注意点もある。金融引き締めが加速して短期金利が長期国債利回りを上回るときには、定期預金金利を下回る可能性がある。また、1年を経過した後は中途換金できるが、直前2回分の各利子相当額が差し引かれる点も確認しておきたい。