英国の平均寿命の地域格差は18年
ウェス・ストリーティング保健相(労働党)は「死亡幇助サービスの予算はない。質の高い終末期ケアへのアクセスが不足していることに加え、NHSの財政が逼迫している。死期の迫る患者が直面するプレッシャーをさらに増大させる恐れがある」と反対している。
英国国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教(当時)も「緩和ケア、地域支援サービス、メンタルヘルスに適切な資金と資源を提供する方が重要だ。優れた緩和ケアは人生の最期を迎えるにあたり、私たちが求める尊厳と思いやりを与えてくれる」と訴えた。
終末期患者にも延命治療を続ける過剰医療の日本ではコロナ危機でも患者一人ひとりの命に向き合い、人口100万人当たりの死者数を595人に抑えた。これに対して医療経済を念頭に置く英国の医療は日本ほど手厚くなく、100万人当たりの死者数は3389人を数えた。
NHSは予算不足に陥り「病気になっても診てもらえない」と市民は不安を漏らす。富裕層が暮らすリッチモンドと貧困地区ブラックプールの平均寿命の格差は18年。医療が充実していればイングランドやウェールズの死者のうち5人に1人以上は死ななくても済んだと指摘される。