トランプ政権のイラン攻撃は時間の問題か
UAE沖の海域で17日、2隻のタンカーが衝突し、火災が発生した。イスラエルとイラン間の戦闘とは無関係だったが、ホルムズ海峡とペルシャ湾周辺で商用船舶の航行システムに対する電子妨害が急増しており、この種の事故が今後も発生する可能性はあるだろう。
堅調な供給面に対し、需要面は弱含んでいる。
世界最大の需要国である米国はドライブシーズンに入ったが、ガソリン需要は前年割れの状況が続く展開となっている。
国際エネルギー機関(IEA)は17日に公表した月報で「世界の今年の原油需要は日量72万バレル増加する一方、供給量は180万バレル増加する」との見通しを示した。
先月の予測に比べて供給過剰がさらに進むことから、「大きな混乱がなければ、今年の原油市場は供給不足に陥ることはない」との見立てだ。
中東地域の地政学リスクへの警戒は根強いものの、市場は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。日本経済新聞は17日「(市場では)過去の経験から『6週間で相場は元通りとなる』との楽観的な見方が広がっている」と報じた。
これまでのところ、中東産原油の供給に支障が生じておらず、協調減産を実施するOPECプラスに日量500万バレルを超える増産余力があるからだが、米軍が直接関与する事態となれば話は別だ。

ウォールストリート・ジャーナルは18日「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認したが、イランが核開発計画を放棄するかどうかを見極めるため、最終命令は発出しなかった」と報じた。米ホワイトハウスは19日「米国がイランを攻撃するかは2週間以内に決定する」とのトランプ氏の声明を発表した。
トランプ氏にとっての悩みの種は、米国が参戦すれば原油価格が上昇する可能性が高いことだ。コアな支持層であるMAGA派が猛反対していることも頭の痛い問題だ。
中東諸国も自国民の反米感情がかき立てられることを懸念している。