人気低迷、解決の糸口はまだ見えず

 日本は2018年、2022年のW杯は、2大会連続で1次リーグを突破して16強入り。特に2022年大会は、1次リーグで強豪のドイツ、スペインを相次いで破った。

 視聴率は好調で、特に日本の初戦となったドイツ戦は、ビデオリサーチによると、中継したNHK総合の関東地区の平均世帯視聴率が35.3%、個人視聴率22.1%(いずれも速報値)で、瞬間最高世帯視聴率は40.6%に達した。また、無料で生中継したABEMAによると、ドイツ戦があった日の視聴者数は1000万を超え、過去最高だったという。

 本大会の盛り上がりにつながる無料視聴の機会が減少すれば、ライト層のサッカーとの接点はさらに狭まり、人気面に大きく影響する可能性がある。

 1993年のJリーグ開幕から30年以上が経過し、強化と普及を実らせてきた日本サッカー界が直面する「選手の海外流出」「W杯予選で高まらない盛り上がり」「地上波中継の減少」の人気低迷要因の“三重苦”は、解決の糸口を見いだせないまま、来年のW杯を迎えることになる。

田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。