債務危機が襲ってきたら・・・
もしこの幻想が崩壊して債務危機が起こったら、この国は最初の原則から再検討を強いられることになるかもしれない。
高所得な民主主義国で、痛みを伴うが必要な改革が実行に移されるのは、危機感が強い時だけだ。
サッチャリズムの前に危機感が広がったし、2010年以降に地中海沿岸諸国で改革が行われた時もそうだった。
筆者はそのような事態を望んでいるわけではないが、想像はしている。
西側諸国の多くは、次のショックに見舞われたら苦労すると思われる財政状況にある。
パンデミックが再来したら、費用が新型コロナウイルス感染症の時の半分で済んだとしても、苦しい事態になるだろう。
インセンティブを削ぐことなく増税を行う余地などない国もある(英国では、国民保険料の引き上げに伴って失業率が上昇している)。
金利水準が高くなれば、政府の支払利息の額は教育費や防衛費を上回るようになる。
リーブス財務相が先日議会に提出した「スペンディング・レビュー(歳出見直し)」には、一つの時代が終わりを迎える時のような匂いがした。
支出を「投資」と称し、ロンドンやその周辺にある生産性の高い衛星都市よりも地方を称賛している。
これではもう、安楽死させてくれと頼む寸前の政府のお手本だ。
マスク氏のような人々ができなかったことでも、債券トレーダーならやってのけるかもしれない。