ところで、(ここからは私自身の見解を述べていくが)アメリカはなぜあんなにもイスラエル国家の振る舞いを全面的と言ってよいくらい支持するのだろう? ハーバード大学でデモがあったように、アメリカでもイスラエルのガザ地区攻撃は、批判が高まっている。

 なのにアメリカ政府は、民主党政権だったバイデン前大統領も、共和党政権である現在のトランプ大統領も、イスラエルによるガザ地区の攻撃を支持している。これまでのアメリカの理念に照らし合わせれば、明らかにイスラエルを支持することはバランスを欠いている。

 なぜこんなにもイスラエル寄りなのか?

米政府が常にイスラエルを支持する理由

 そのあまりのイスラエルびいきから、アメリカ政府は、ユダヤ人大富豪たち(ここではあえて従来のイメージに従って「ユダヤ人」という表現をわざと用いる)の巨額マネーで操られているのではないか、という推測までまことしやかに語られる始末。

 しかし、アメリカはいちおう民主主義の国。仮にユダヤ人大富豪が大金を使ってアメリカ政府を動かそうとしても、国民の支持を失えば政権が揺らいでしまう。しかも、アメリカではユダヤ人の数は多いとは言えず、選挙を支配できるほどの人口ではない。なのになぜ、ここまでイスラエルの全面的支持にアメリカ政府を駆り立てることができるのか?

 実は、「シオニスト」には2種類ある。自らをユダヤ人だと称し、イスラエルによるガザ地区攻撃をも支持する「ユダヤ系シオニスト」と、なんと、キリスト教徒でありながらイスラエルの攻撃を支持するシオニストがある。彼らのことを、本記事では「キリスト教系シオニスト」と呼ぶことにしよう。

 実はキリスト教系シオニストに関しては、この記事(柳澤田美「“2050年までにキリスト再臨”を信じる人々がイスラエルを支持する理由とは?」現代ビジネス 2024.12.31)を読むことを強くお勧めしたい。ただ、この記事は少し言葉が難しくて理解しづらい人がいるかもしれない(本記事もそうかもしれないが)。そこで本記事では、私なりに「意訳」してみる。正確なことを知りたい場合は、ぜひ上記記事をお読みになることをお勧めしたい。