海軍力を補うため開発された水上ドローン「シーベイビー」

「蜘蛛の巣」作戦でSBU工作員はドローン部品をロシアに密輸し、秘密の場所で組み立てた後、木製コンテナに隠してトラックでロシア深層部の空軍基地に向け輸送。ドローンは信号を失っても人工知能(AI)が事前に計画されたルートに沿って自動操縦し、標的を攻撃した。

 SBUの特殊作戦センターは昨年8月、露西部クルスク州で一人称視点(FPV)ドローンを使って飛行中のロシア製Mi-28攻撃ヘリコプターの後方から接近、テールローターに体当たりさせて損害を与えた。飛行中のヘリに対しての攻撃にドローンが成功したのは初めてのため、衝撃を広げた。

ウクライナの無人機から撮影したロシア空軍機が炎上する様子(ウクライナ保安庁が公開した動画よりキャプチャー)

 ウクライナ戦争でドローンの重要性が高まる中、安価なドローンが高額の軍事装備を無力化できることを実証してみせた。

 SBUが開発した水上ドローン「シーベイビー」(全長6メートル、航続距離1000キロメートル以上、最高時速90キロメートル)の役割も大きい。

 ウクライナ海軍は2014年のクリミア併合で艦の大半をロシアに拿捕されたため、22年の全面侵攻の際には、さらに拿捕されないよう艦を自沈させた。失われた海軍力を補うため開発されたのがシーベイビーだ。最大6基のロケットランチャーと機関銃も搭載されている。