SBUは、秘密のベールに包まれ畏怖されるイスラエル諜報特務庁(モサド)にも比せられる。ロンドンに拠点を置く情報企業グレイ・ダイナミクスは「SBUの起源はロシア帝国に遡る。100年以上もの歴史を持つSBUの歴史は決して清廉潔白とは言えない」と指摘する。

 ウクライナ独立とともにSBU職員のほとんどは旧ソ連国家保安委員会(KGB)から移籍した。SBUの機能は新設されたウクライナ国防省情報総局(HUR)と一部重複するため、しばしば衝突し、双方のライバル関係は今もくすぶり続いている。

SBUへの信頼度は23%から73%に急上昇

 グレイ・ダイナミクスは報告書『祖国の守護者』(昨年2月)で「国家の民主化努力にもかかわらず、SBUは腐敗問題を抱えていた。SBU捜査官は犯罪組織と共謀し、拷問によって自白を強要していた。この問題はSBUが今日でもなお抱えている問題である」と指摘している。

 報告書によると、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領(当時)は逃亡前、SBU内の支持者に国家機密を盗み出すよう命じた。彼に忠誠を誓う工作員は2万2000人以上の職員と情報提供者に関するデータを持ち出した。持ち出せないものは破壊・焼却され、SBUは機能不全に陥った。

 ヤヌコビッチはSBUや特別警察部隊にマイダン革命に参加した市民への発砲を命じたとも言われるが、真相は藪の中だ。