駆逐艦の進水失敗に見舞われた金正恩が欲するなにがしかの“成果”

――今後の朝鮮半島情勢で、特に注目しているのは何か?

「昨年の6月19日、プーチン大統領が訪朝して、金正恩委員長との間で、朝ロ戦略的パートナーシップ条約を締結した。あれから1周年を記念して、金委員長がロシアを訪問するかを注視している。

 プーチン大統領は5月9日、対独戦争勝利80周年を記念して、モスクワで軍事パレードを行った。その際、習近平主席は参加したが、金正恩委員長は参加を見送った。それは、『大勢の首脳が一堂に会する場では、プーチン大統領とゆっくり会談できない』との判断からだ。

 だが北朝鮮はいま、金正恩委員長が視察した5000t級の駆逐艦が壊れて問題になっているし、上半期の“成果”を出したい。10月10日には、朝鮮労働党創建80周年も控えており、成果を求めて、6月に金委員長がモスクワを訪問する可能性があると見ている」

――日朝関係が進展していく要素はあるか?

「残念ながら、目下、その兆候は見られない。北朝鮮は日本に対して、2002年と2004年に小泉純一郎首相を平壌に呼んで会談したが、無意味だったというのが結論だからだ。

 今後、北朝鮮が日本に接近するとしたら、まず北朝鮮に対する経済制裁を解除するよう主張するだろう。また日本には、頓挫(とんざ)している平壌総合病院の建設を支援してほしいという意向もある。

 ともあれ、金正恩委員長がいま会いたいのは、トランプ大統領だ。アメリカとの関係がよくならないと、日本との関係改善を図ろうとしないだろう」