現役世代が支える「賦課方式」とは
年金制度の仕組みには、自分が納めた金額しかもらえない「積立方式」というのもあります。どちらが良いのか、よく議論されますが、インフレを考慮した年金額を安定的に年金生活者へ支払うには賦課方式がベターだと結論づけられています。
日本だけでなく、多くの先進国の年金制度で賦課方式が取り入れられています。

賦課方式は、現役世代がいる限り破綻しにくい仕組みといわれますが、年金制度を続けるためには、もらえる年金額を減らしたり、受給開始年齢を遅くしたりする調整を行う必要があります。これは多くの国でも既に取り入れられている仕組みです。
日本は少子高齢化が一番進んでいます。よって、将来の不足分に備えて、年金積立金を活用することを予定しています。現役世代が納めた年金保険料のうち、年金の支払いに充てていない分を「年金積立金」として積み立てていて、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用して増やしています。
年金給付の財源が不足してきたら、その不足分に年金積立金が活用されます。2024年12月末時点で、GPIFの運用資産額は260兆円(うち運用による累積収益額は164兆円)を超えています。
このように、自分が納めた金額しかもらえない「積立方式」とは異なり、「賦課方式」では自分が納めた年金保険料を超えて、年金額を受給できることを意味しています。