
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
2025年5月20日(日本時間)、Microsoftの開発者向けイベント「Build」が米シアトルで始まった。そのキーノートスピーチで、MicrosoftのCEO兼会長であるサティア・ナデラが、「オープン・エージェンティック・ウェブ(Open Agentic Web)」という新しいコンセプトを打ち出している。
これは「AIエージェント」(生成AIなど最先端のAI技術を駆使し、自律的に動作することが可能なアプリケーション)が、ユーザーや企業に代わってウェブを含むデジタル環境全般で自律的に活動し、目的を達成するという未来のビジョンだ。
オンラインショッピングを例に挙げよう。
現在のEコマースサイトを訪問しているのは、もちろん人間のユーザーだ。人間が検索エンジンなどを使ってサイトを選び、訪れ、そこに並べられた商品を見て、自分の好みや予算といった条件の中から目的に合うものを購入する(もしくは購入せず立ち去る)。
しかし「エージェンティック・ウェブ」が実現された世界では、人間だけでなく、AIエージェントもEコマースサイトを利用するようになる。
人間のようにサイトにアクセスし、情報を取得したり、そこに用意されているショッピングカート機能を利用したりして、人間のユーザーからあらかじめ設定されていた条件に合う商品を探し、購入するわけだ。
また、Eコマースサイト側にAIエージェントが用意されていた場合には、そのエージェントが訪れた人間もしくは他のエージェントと協力して、来訪者の目的に合う商品を選び、提案する。
実は既に、一部のAI系サービスやウェブサイトにおいて、こうした状況が実現されつつある。それが普遍的な現象となるのが「オープン・エージェンティック・ウェブ」というわけだ。
確かにこうした世界は、私たち人間にとって便利なものになりそうだ。しかしAIエージェントが自由に活動する世界には、深刻な脅威が潜んでいると警告する論文が発表されている。
いったいどのような内容か、同論文に基づいてChatGPTに短編SF小説を書かせてみたので、まずはそれをご紹介しよう。