就職氷河期世代の低年金問題
伊藤:ただ一番大切なワードがまだ抜けています。それは「年金」です。我々も中年になり、本丸は就職氷河期世代の低年金問題に移っています。
西田:人口のボリュームが比較的多い世代と氷河期世代が重なってしまい「年金問題」が深刻化していますね。
伊藤:それもありますし、第3次ベビーブームが起こらなかったということです。やはり就職氷河期世代の雇用環境に政治家が著しく無関心であったから、子どもを産み育てられる賃金を確保できなかったことが背景にあると思います。
西田:具体的にはどのような支援策を考えられているのですか。
伊藤:年金の全体像を語れと言われると難しいですが、アイデアはいくつかあります。
例えば、国民年金には追納制度があります。収入がしんどい場合は納めなくていいよというものですが、10年以内の追納、50歳未満の年齢制限など要件があります。
要件を満たしていないと遡って納付ができない、つまり将来の基礎年金は低くなるということです。これは特例期間を設けて、もう少し追納できるようにしたらどうかと思うのです。
西田:いいと思いますが、何か問題点はあるのですか。
伊藤:政府に言わせると、ギリギリになって納めればいいと思う人が出てくるからダメだということです。石破総理に持って行った時も、公平性の観点から全否定されました。
筋が悪いのかと思って、専門家や経営者、税理士さんなどいろんな人に聞きに行ったら、みんないいと思うとおっしゃいました。もちろん収入や資産を確認した上でですが、検討してもよいのではないかと思います。
あと、米国では2027年から低年金者用の資産形成支援制度「セイバーズマッチ」が始まります。簡単にいうと、1000ドル拠出するともう1000ドルを政府が出してくれ、その2000ドルを原資として年金を増やしていく制度です。
これを日本のiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金制度)などに置き換えて考えてみても良いかと思います。
例えば、私たちが「103万円の壁」を壊して、ガソリン暫定税率廃止を実現して、月に1万円を捻出できるとします。そこで国も1万円マッチングして月2万円を原資に年率3%で40年運用できれば、1800万円になりますよね。
老後2000万円問題に対応できます。氷河期世代のみならず若い世代も将来に対する不安は大きい。一律10万円給付よりも、イデコの特例制度を作るといったアイデアも検討余地があります。
他にも、将来の年金を増やせるのであれば、年金の払込期間を60歳より少し長くするという措置も考えられます。
西田:グッと期待感が増してきました。
伊藤:私自身当事者なので熱の入り方も違いますよ。就職氷河期世代が日本の労働市場における課題の割を食ったにもかかわらず、退職金に課税されようとしたり、一方で新入社員の初任給が40万円を超えたりすると言われるとやるせない…。
就職氷河期世代、子育て氷河期世代、老後氷河期世代…といつまで氷河期世代を続けたらいいんだ!というこの怒りのマグマを政策にしていきたいと思います。
西田:最後に参議院選を前に心意気を教えてください。