持続可能な儲かる農業に不可欠な考え方
農業で家族が安定した生活を送れるようになるには、とにかく儲かる農業経営をしなければならない。儲かる農業にするにはなにが必要か、私なりに考えると次の2つだ。生産性向上とお客様とつながることだ。
生産性向上については詳しく説明してきたが、これからの農業でもっとも避けなければならないのは、従来の低付加価値で生産性の低い農業のままで人を手当てしてその場をしのいでいくことだ。ここに未来はない。
これまでの常識や伝統を覆す新たな付加価値・生産性が高い農業でなければ、生き残っていくことはできない。
私の場合、あの手この手の生産性向上策を実行することにより、サラリーマン時代に比べ、働く時間を半分に減らし、収入を2倍に増やすことができた。単純に計算すれば、時間当たりの生産性は、4倍になったことになる。
生産性向上ともうひとつ大切なのが、お客様とつながる農業だ。これからは、イオングループの農業事業「イオンアグリ創造」のような株式会社の農業参入がますます増えていく方向にある。
このような企業参入は、本業で培ってきた合理化技術を駆使して、生産性の高い農業を展開していく。飲食店や小売店向けの安定供給が必要な出荷型農業は、これから企業が経営する農業と輸入品に集約されていくのではないかと予想する。
農業に参入した企業が、長年本業で培ってきた合理化技術に中小零細農家が太刀打ちできるのか、非常に疑問だ。だからコスト競争力のない小規模農家が、出荷型農業をこの先も続けていくことは、非常に厳しい状況だと言わざるを得ない。そこに生きる道はない。
そう考えると、小規模の農家が生き残っていく道は、お客様とつながっていけるような農業を実践していくことだ。
「少々値段は高いが、あそこでつくったものは安心で信頼できる、それに美味しい」といったお客様の評価によって、生産者とお客様がつながりを持った農業こそが、日本の中小零細農家が生き残っていける唯一の道ではないかといつも考えている。