脳を活発にして、より速く正確に働かせる
たとえば、この絵を見てください。

この作品について言いあらわすのに、だれがえがいたのか、いつえがかれたのか、なぜえがかれたのかを知らなくてもだいじょうぶです。試してみましょう。
この絵の中ではなにが起こっているのでしょうか?
絵の中の人物は屋内にいますか、それとも屋外にいますか?
何人の人が見えますか?
何種類の色が使われていますか?
この絵を見ると、どのような音が聞こえますか?
この絵を見ることができない人には、どのように説明しますか?
これらの質問を通して伝えたいのは、みなさんがアートを鑑賞するときに、自分自身に対してなにを問いかけ、その問いを通して周りの世界をどのように見るかという方法です。批判的に考える力を養い、見たものを分析して、それを他の人に説明する技を、この方法から学習できるのです。
(中略)
この絵には橋の上に、1990年の映画『ホーム・アローン』の主人公ケビン・マカリスターのように叫んでいる人物がえがかれています。
この予期せぬ未知の人物を「顔の横に手を当て、口を開き、目を見ひらいている」と描写することが、学校に入学した初日や軍のキャンプに初めて到着したときに見たものを説明することと、同じ技を必要とするのです。
つまり、アート作品の中でなにが起こっているかを語ることができれば、日々の生活で目にする場面についても、たとえどのようなとき、どのような場合でも説明することができるのです。
これから脳を活発にして、より速く、より正確に働かせる訓練を開始しますが、そのために最初におこなうのは、逆にスピードを落とすということです。