上記予想では、高い存速を維持するという想定でマッハ3での第2セグメント点火を想定しましたが、デュアルパルスロケットモーターで第2セグメントを点火するタイミングは任意です。つまり、これを遅らせれば、より長射程を達成できます。
あまり現実的とは思えませんが、仮に速度がマッハ1.5まで低下した後に第2セグメントを点火したと仮定すると、距離に応じた存速は次の図のようになりました。これであれば、射程230キロほどと言ってよさそうです。

さらに極端なケースとして、第1セグメント燃焼での速度が、マッハ1まで低下した後に第2セグメントを再点火したと仮定すると、このようになります。これであれば、射程は250キロ程でしょうか。ただし、最高速度がマッハ3.3程度まで低下しているため、250キロ到達は発射後7分近くも経過した後であり非現実的です。

こうした性能予測は、現状ではPL-15の外見以外には確たるデータがないため、予測を行う人によってバラツキがでます。最大射程が200キロから300キロと幅のある予想になっているのはそのためです。
しかしながら、PL-15が採用したデュアルパルスロケットモーターという技術が、ミサイルに長射程性能を持たせる上で有効なことは間違いありません。
PL-15は本当に脅威なのか
さて、ではPL-15は脅威かと言われると、疑問を呈さざるを得ません。
確かに、長射程性能はありそうです。しかし、先に述べたようにPL-15は、後方のAWACSなどを狙うための超長射程ミサイルではなく、戦闘機が高機動を発揮しつつ、敵戦闘機と交戦することを想定したミサイルです。