「国保はいざというときの保険と言えるのか?」
笹井:都道府県・市町村が運営する国保は、他の保険と比較して最低ラインです。
例えば、一番分かりやすいのは、患者の負担額を上げるべきか議論のある高額医療費で、所得200万円から600万円の人の自己負担限度額はおよそ8万円です(年4回以降は4万4000円になる)。
私の場合は前述のように国保の支払いが年間で88万円ですから、年10回払いで、月の支払額が8万8000円でした。
ということは、たとえば私が重たい病気を患って高額医療の対象になった場合、月に国保料を8万8000円払って、さらに8万円の医療費を払うことになる。しかも、その額の支払いが数カ月連続する可能性もある。
例えば、出版健保(出版業界の組合健保)だったら、2万円ぐらいの保険料で独自の給付サービスがあるので、自己負担分も実質的に2万円程度です。国保だったら保険料と自己負担限度額あわせて月16万8000円のところが、こちらだとおよそ月4万円になるわけです。
国保には傷病手当や出産手当もありません。都道府県・市町村が運営する国保がいざというときの保険と言えるのか、はなはだ疑問です。
──ある元厚労省指導医療官から、「国保は企業に勤めている被用者保険に入っている人の税金からもサポートを受けて成り立っている」といったニュアンスの説明を受け、疑問を持ったと書かれています。
笹井:この部分は怒りながら原稿を書いたので、ちゃんと伝わるか少し不安だったのですが(笑)、その方はもともと私が取材する予定の方でした。
私が「国保は保険料が高い」と言ったら、その方が「僕たちからみれば、自分の社会保険料を払っている上に税を通じてそちらにも払っている」「集めるお金(保険料)が減ると提供される医療費が下がる」「日本は中福祉・中負担ですよ」と言われました。