豊富な鉄道遺産と沿線グルメ
さて、アニメの聖地巡礼やTV番組タイアップ企画以外にも、天浜線の楽しみ方はまだまだある。ボクのオススメは歴史とグルメ。こう書くとそれこそTVの旅番組のようだが、天浜線は赤字が幸いしてきたのかどうか、駅や施設などの多くが開業当時のまま残されているのである。駅舎やプラットフォーム、橋梁、トンネルなど、全部で36件もの施設が国の登録有形文化財に登録されており、全線が鉄道遺産と言っても良いほどだ。

なかでもメインターミナルである天竜二俣駅には蒸気機関車の進行方向を転換するための転車台や扇形の車庫などが多数残されている。それらを見学するためのツアーも土日を中心に予約不要でおこなわれているので、是非とも参加して鉄道遺産への関心を高めてもらいたい。

もうひとつの楽しみ方だが、多くの駅には飲食店や食品販売店が同居しており、そのどれもが本格的な味を追求し提供しているので、途中下車を重ねての食べ歩きで胃袋を満たしてみよう。北海道の釧網本線、九州の南阿蘇鉄道と並んで、天浜線をボクは勝手に日本3大グルメ路線と呼んでいる。
最後に1泊2日で天浜線の歴史とグルメが満喫できるモデルコースを紹介しよう。
1日目
・遠州森駅(1935年開業の古い駅構内でボーッと過ごす)
・遠江一宮駅(文化財の駅舎内にある手打ちそば屋「百々や」で十割そばに舌鼓を打つ)
・天竜二俣駅(「転車台&鉄道歴史館見学ツアー」に参加して鉄道遺産三昧)
・二俣本町駅(駅舎をリノベーションしたホテル「INN MY LIFE」に宿泊)
2日目
・都田駅(「マリメッコ」を中心とした北欧インテリアに囲まれた「駅café」でアート鑑賞)
・金指駅舎内にある「石窯焼きピザ piazza」)、もしくは三ヶ日駅舎内の「グラニーズバーガー&カフェ」で昼食。駅はどちらも文化財
・西気賀駅(開業当初から残る木製の改札口を抜け、「月暈」でフランス菓子を購入し浜名湖を散策)
・都筑駅(パン屋「メイポップ」で手づくりパンをお土産に購入)
・新所原駅(「駅のうなぎ屋 やまよし」でうな重を購入し、帰路の車内で食す)

以上、掛川駅から天浜線に乗車し、翌日に新所原駅で帰路につくというプランであるが、もちろんこの他にも文化財やグルメが味わえる駅はたくさんある。これからは静岡名産であるお茶の新芽がキラキラと輝き気候も良く、旅には絶好の季節である。この機会を逃すことなく、それぞれの天浜旅を思う存分味わってみてはいかがだろう。
(編集協力:春燈社 小西眞由美)