一方、世界市場で見ると、ファーウェイは現在も上位5社に復帰していない。同社は2020年4~6月時点で出荷台数が世界トップだった。

 米CNBCによれば、他の中国スマホメーカーは、ファーウェイと同様の事態に陥ることを懸念している。

 英調査会社CCSインサイトのチーフアナリスト、ベン・ウッド氏は「ファーウェイが立ち直り始めたまさにその時に、トランプ氏が再登場した。今後、中国への圧力は、ファーウェイだけでなく、MWC 2025に出展した全ての中国メーカーに影響を及ぼすだろう」と指摘する。

「制裁の影響は限定的」との見方も

 一方、中国メーカーが欧州市場に注力していることや、米国企業も中国の顧客企業に依存していることから、制裁の影響は限定的になるとの見方もある。米調査会社IDCのフランシスコ・ジェロニモ氏は「中国メーカーが米国ではなく欧州に注力していることは、トランプ政権の注意をそらすことになる」と話す。

 カウンターポイントのニール・シャー氏は、「中国企業に対し、米国技術へのアクセスを制限することは、米国企業にも損害を及ぼす可能性がある」と指摘する。

 中国国外で製品を販売している中国メーカーの多くは、米グーグルのモバイル機器向けOS「Android(アンドロイド)」とその関連技術や、米クアルコム製半導体、ノートパソコンやタブレット端末に米マイクロソフトのOS「Windows」を採用しているからだ。

「ファーウェイの技術的自律」は他の中国企業にも

 今後中国メーカーは米国の動向を注視しながら、技術開発と市場開拓を進めていくことになるだろう。トランシオンは引き続き、新興・途上国の「グローバルサウス」に焦点を当てる。シャオミは欧州でのプレゼンス強化を狙う。ファーウェイは世界市場への早期復帰を模索する。

 トランプ新政権が再び対中強硬策を実施し、バイデン前政権の対中規制を継続・強化するならば、中国企業はファーウェイがそうしたように、独自技術の開発にまい進し、技術的自立を加速させるだろう。中国政府も、今年で最終年を迎える「中国製造2025」などの政策を通して後押しするとみられる。米国の対中制裁は、中国の技術開発のバネになるようだ。米政府にとって、その狙いと相反する結果が生じることになる。