閉鎖的な議論に終始する「社会資本メンテナンス元年」から13年のいま

 同じ質問に、家田委員長は、「重要なのは、市民が中心になってインフラのマネジメントに関心を持っていただくこと。そういう意味でも、マスコミの皆さんが、インフラについて地域の皆さんが関心を持つ方向で報道して欲しい」と回答した。

「であれば、検討委を公開すべきではないか」と求めたが、石井参事官は「八潮市の事故後の状況を想像しながら議論するのでセンシティブ」だからと、家田委員長は「非公開の方が気軽に喋れるという人が結構多い」と、理由にならない理由で、今後も公開しないという。これでは市民はもちろん、自治体も記者も、関心の持ちようがない。

 河川事業と上下水道事業は、同じ国交省の「水管理・国土保全局」の業務だが、互いの縄張りには踏み込まない。「霞が関の掟」が健在で、会議を公開せず、会議の委員には、常連学者や業界団体が参加し、何度も同じような提言を出すが、現場には反映されない。自治体も同じやり方で、昭和に決めた事業を何回でも工期を延長し、工事費を増額して続けていく。

 大臣がいう「社会資本メンテナンス元年」から既に13年、あと何年、こんなことを続けるのだろうか。あと何人、老朽インフラのために命を落とせば、日本は変わるのか。