新しいダムは「経営戦略」?
市水道局に、検討委に水道法改正の趣旨を説明したのかと問うと、「経営戦略の話だと思うが、佐世保市は、山あり谷ありで軍港に向いていた。山では水道管を上げて、谷で下げて、デコボコした地形で、どうサービスを提供するかという問題を抱えている」と、佐世保市の歴史と地形の話になった。
旧海軍と市がそれぞれ作った古いダムを、空にして修復できないので石木ダムが必要だという理由づけだった。それを「経営戦略」として、検討委では説明したのだ。
市水道局の検討資料には、「ダウンサイジング」や「長寿命化」の文字が踊っているのだが、古いダムの撤去はおろか修復計画すら、具体策はない。旧海軍のダムは、単に再評価でダム継続の結論を導くためのツールにしか見えないのだ。
高騰する水道料金
今や、佐世保市の水道料金は、福島市、帯広市、山形市、上越市、松江市についで全国ワースト6だ。
石木ダムに反対する市民らが専門家に呼びかけて作った「市民による石木ダム再評価監視委員会」(委員長:西島和弁護士)は、今年1月、検討委に対して、佐世保市の水道料金(月額4195円)は全国平均(月額3332円)より既に25%ほど高いと指摘。基幹管路の耐震適合率(25%)は全国平均(42%)より低いことも指摘した。そして、「こうした状況で、石木ダム事業の継続が水道事業経営にどのような影響を及ぼすのか、適切な情報公開・審議を」と意見書で要請していた。
ところが、検討委は、改正水道法と軌を一にする市民の声すら一顧だにせず、市があらかじめ決めていた通り、石木ダムの「事業継続が妥当」という結論を出した。
改正水道法に必ずしも従っていないのは、国も似たようなものだ。