求められる当事国の結束と米軍のプレゼンス

 中国は長年にわたり、東シナ海の日本固有の領土である尖閣諸島や台湾、そして広大な南シナ海のほぼ全域に対する恣意的な領有権主張を行っている。

 南シナ海では、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナムとの間の領有権問題で係争中である。

 黄海における最近の中国の動きは、中国が韓国と共有する海域で同様の行動に出ようとしていることを示唆している。

 このように、中国の違法、強圧的、攻撃的、欺瞞的な戦術を用いた一方的な現状変更の試みに対しては、何よりもそれぞれの当事国が断固とした姿勢で中国の暴挙に立ち向かうとともに、同じ脅威に曝されている国が、中国の行動を常態化させないよう結束して中国が付け入る「隙」や「力の空白」を作らないことが重要である。

 米国では、ドナルド・トランプ大統領による新政権が発足した。

 トランプ大統領は、「力による平和」(Peace Through Strength)、すなわち「強さを通じた平和の実現」を掲げ、就任演説では、「世界がこれまでに見た中で最も強力な軍隊」を構築し、それによって、敵の侵略を抑止し、無謀な戦争を回避して平和を実現する戦略を説いた。

 大統領のイエスマンと言われるピート・ヘグセス国防長官は、上院における曰く付きの承認後、「国防総省へのメッセージ」を発した。

 その中で、世界で最も強力かつ最も決定力のある軍隊(the strongest and most lethal force in the world)を維持し、 同盟国やパートナーと協力し、共産主義中国によるインド太平洋への侵略を抑止すると強調した。

 この米新政権の成立は、中国の攻撃的行動を抑止する上で、最も影響力を伴うものと期待され、そのためには米軍のプレゼンスの強化と同盟国・友好国との連携は必須である。

 また、東・東南アジアで起きていることを、当事国が一致団結し、同じ言葉で国際社会に向かって発信し、国際社会の広範な理解と協力を得、それを共同行動に代えて行く外交努力も重要である。