「メジャー枠」を奪い取るほどの実力は?

 ドジャースが佐々木投手と契約できたとして、メジャー契約に切り替えることを念頭に置くと、40人枠のさらなる調整が必要だと報じられている。ドジャースに限らず、佐々木投手を獲得する可能性があるとして名前が挙がっている球団はいずれも強豪で、メジャー枠の状況に変わりはほぼない。

 一方、20球団の中で、どの球団もロースターを確約していないとなれば、佐々木投手の評価とも関係しているといえる。

即戦力としての実力をメジャー球団側は見極めきれずにいる?(写真:Matias J. Ocner/TNS via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

 佐々木投手は、ロッテ時代の在籍5年間で一度も規定投球回数に到達しておらず、まだ1年を通じて先発ローテーションで投げた実績がない。ある球界関係者も「この点は契約に影響するだろう」と見る。

 23歳と若く、最速165キロのまっすぐや鋭いスプリットが魅力の逸材ではある。それでも、25年シーズンにいきなりメジャーの先発陣の一角を任せるには、けがのリスクも含めて不安が大きいという判断が働いても不思議ではない。

 過去には、09年に、当時22歳だった田澤純一投手がレッドソックスとメジャー契約を結んだが、チームの育成方針のもと1年目の開幕はマイナーで迎えた。日本でプロ経験がなかった田澤投手と単純な比較はできないものの、佐々木投手を獲得した球団からすれば、まだ若い佐々木投手も長期のスパンで活躍するために、1年目の開幕メジャーにこだわらない可能性はある。

 佐々木投手は「25歳ルール」の影響から契約金も年俸も低く抑えられる半面、資金力に劣る球団も含めて、多くの球団が獲得に名乗りを挙げることができた。このため、当初は佐々木投手が育成環境や球団施設の充実ぶり、生活しやすい都市環境などを考慮して球団を選べる、いわば空前の「逆ドラフト」(ウルフ氏)の模様を呈するのではとされていた。

 しかし、メジャーで投げる大前提となる「ロースターの確約」がこれまでの交渉で得られていないのは、佐々木投手側にとってはたして想定内だっただろうか。

 もちろん、佐々木投手側に球団を選ぶ主導権がある状況には変わりない。