「専門医のデパート」と化している美容医療

 「百聞は一見にしかず」という言葉を胸に、4月の学会後、美容医療にどのような医師が集まっているかを調査することにした。調査したのは、プロフィールが詳細に記載されていて調べやすいという理由から、全国11医院以上を展開する美容医療チェーン院長だ。

 美容クリニックでは、地域ごとに医院を設置しており、各施設が推しの美容施術を派手にアピールしている。その中でも、医院を特徴付ける要素として院長の存在は大きいため、院長の経歴や得意技術などが詳しく公開され、医院の技術力や信頼性を想定顧客に理解してもらおうと工夫が凝らされている。

 筆者は地域ごとの医院のきらびやかなウェブサイトを一つ一つ開いて、プロによって撮影されたように見えるプロフィール写真や経歴を確認していった。

 中には「慶應義塾大学医学部首席」「桜蔭高校卒業」などといった、高校大学時代の経歴にまで触れられているものも見られ、院長の経歴次第で、顧客の来客意向は左右されるのかと思えた。

 そうしてつぶさに確認し、323人の院長の経歴を確認したところ、冒頭に触れたように“専門医デパート”の様相を呈していることが見て取れた。

 確かに、美容医療と関わりに深い形成外科の専門医は多かった。

 そもそも、院長を調べようと思ったのは、形成外科医がどれくらい大手美容医療チェーンの院長を務めているかに関心を持ったため。現に、323人のうち13%が形成外科の専門医だった。

 これが多いか少ないかの判断は難しいが、調査中に特に目を見張った点はむしろ他にあった。というのも、とても美容医療と直接関係がなさそうな専門医資格を持つ美容クリニック院長が多かったからだ。