(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
立憲、維新、国民が「給食無償化」法案を提出
子どもが空腹でいるなどということはあってはならない。
同時に子どもが心身ともに健康に成人できる社会であるべきだ。しかし残念ながら現代日本社会の現実はおそらくはそうはなっておらず、改善すべき点が数多残っている。
学校についていえば、ともすれば勉強に関心が向くがそれだけではない。
とくに義務教育、高校など準義務教育課程等における給食は、恵まれない家庭環境の子どもたちの命綱のひとつと考えられてきた。
その給食に対して、いま、政治的に関心が向くようになっている。
立憲、維新、国民の3党が共同で「給食無償化」を提出したからだ。
◎立民 維新 国民の野党3党 給食費無償化の法案 国会に共同提出 | NHK
◎給食無償化「法改正が必要」 文科省 省予算では「不可能」 / 日本農業新聞公式ウェブサイト
◎【法案提出】「学校給食無償化法案」を衆議院に提出 | 新・国民民主党 - つくろう、新しい答え。
実現にはおよそ5000億円の予算が必要になるという。国民民主党が掲げた「手取りを増やす。」に代表される現役世代の負担低減への関心が高まるなかで、給食無償化は主張がシンプルなだけに、訴求力は高い。これは明らかだ。
社会保険料や所得税をめぐる近年の「壁」の議論でもそうだが、そもそも「給食とはなにか」についての理解は案外浅い。無償化と同時に、物価高騰のなかで生じている給食の質量に関する困難が看過されるようでも困る。
文科省も教育無償化は現状の文教予算では実現困難だと事実上、白旗を掲げているが、同時に国民的議論を深めたいとのことのようだ。その日に備えて、今日は当たり前のようで、あまり知らない「制度としての給食」とその現状、課題に関する理解を深められるよう紹介したい。