実際の給食費負担、小学校最高は福島県の5314円

 実際の給食費負担はどうなっているのだろうか。食材費ベースで見ると、小学校4688円、中学校5367円等となっていて、平成の時代から一貫して右上がり傾向になっている。

 給食費の都道府県別格差も大きい。小学校平均は月額4688円だが、最低は滋賀県3933円、最高は福島県では5314円で、中学校平均は5367円で、最低は4493円の滋賀県、最高は6282円の富山県であった。

 小学校の場合、給食は全国で年間平均192回提供され、平均月額4688円というから、1食あたりで均せば200〜300円程度だといえる。中学校の場合、188回で5367円なので、1食あたり300円程度といえる。

 別表の実施状況等を見ると、給食について完全給食実施状況や給食費に地域的特性がかなり出ていることがわかる。例えば首都圏では神奈川県は他の自治体と比べて顕著に完全給食実施率が低く、ミルク給食率が高いことや、調理の仕方も全国では単独調理場方式と共同調理場方式などが地域によって相当程度異なることがわかる。

 また調理、運搬などで外部委託率が高まり、5割を超えていることもわかる。

 学校の規模や数、調理員の配置の条件などにより、法律で定められた「給食」のあり方もとても多様である。そのため実は給食無償化というシンプルな政策で解決できるかといえばいささか心許ない印象だ。

 給食は、人件費や設備費を別途学校で措置し、また営利目的の提供ではなく利益を度外視できるという条件を踏まえれば、単純に、我々が町中で見かける食事の値段と比較することは適当ではないが、それでも物価高騰のなかで、そもそも相当にリーズナブルな費用で収まっていることに気づく。そもそもこの給食費の設定それ自体も無理はないか。

 このような諸データや問題意識を踏まえて、改めて野党が提出しているところの「給食無償化法案」の骨子を見てみよう。

一 経費の支弁及び負担
1 学校給食に要する経費は、義務教育諸学校の設置者の支弁とすること。
2 国は、義務教育諸学校の設置者が支弁する学校給食費のうち、学校給食費の額の標準となるべき額として政令で定める額を基礎として政令で定めるところにより算定した額に相当する額を負担するものとし、当該設置者に対し、国が負担する額を交付すること。
3 特別の事情があるときは、義務教育諸学校の設置者は、学校給食費の額から2の政令で定めるところにより算定した額を控除して得た額を限度として、学校給食を受ける児童又は生徒の保護者に負担させることができること。
(国民民主党「学校給食法の一部を改正する法律案要綱」より引用)

 本法案を通じて学校給食に要する経費の全体を原則的に学校(設置者)が支払うべきものと明確にする点は高く評価できる。本稿冒頭で引用したように、現行の学校給食法では設備や人件費を学校が負担すると定めていることから比べれば、食材費含めて設置者が措置すべきとしているので大きく踏み込んでいる。