いささか旧聞に属するが、3月22日に東京マラソンを走った。参加した市民ランナーは、26万人を超える応募者から抽選に当たった約3万5000人。新宿の東京都庁をスタートし、日比谷→品川→銀座→浅草→築地と都心を十字に駆け抜け、有明の東京ビッグサイトがゴールになる。

男子はキプサングが優勝 前田が2位、東京マラソン

東京がひとつになる日
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 午前9時の号砲とともに、まず車椅子自転車がスタート。10分後、スターターの石原慎太郎都知事が満面の笑みで壇上から両手を大きく振りながら、ランナーを送り出した。筆者の周りには、ポニーテールの長い髪をキャップの後ろから垂らし、ファッショナブルなウエアで決めた若い女性が目立つ。

 沿道は応援の人の波。都の東京マラソン事務局によると、今年は一時雨が降るなど天候がいまひとつで、昨年より30万人程度減ったというが、それでも136万人もの観客が詰め掛けた。

 「パパがんばって」と書かれた手作りの横断幕、「昭和9年生まれ」のゼッケンをつけたランナー、沿道で拍手しながら応援していた高齢の女性は「涙が出ちゃう」・・・。給水所のボランティアの笑顔と応援も素晴らしい。コースはどこまで行っても、応援の人、人、人・・・。ランナーは応援者に励まされ、応援側はランナーに元気づけられる。

 この大会が始まってまだ3回。だが、そこには年代や男女を超えた一体感、連帯感が生まれている。大会のキャッチコピーは「東京がひとつになる日」。まさにそのものだった。

知事の豪腕、ランニングを「汗臭さ」から解放

男子はキプサングが優勝 前田が2位、東京マラソン

「週1」ランナー、350万人突破〔AFPBB News

 笹川スポーツ財団によると、2008年の日本のランナー人口(推計)は「週1回は走る」が352万人、「1年間に1回は走った」者まで含めれば755万人に上る。

 中でも目立つのが、「仕事を持つ若い女性」の増加ぶりだ。東京マラソンがその数を押し上げた、と言ってよいだろう。ランナーの「聖地」である皇居周辺に行くと、多くの女性が夜仕事を終えてから、仲間と連れ立って楽しそうに走っている。こうした女性ランナーの急増が、ランニングのイメージを「汗臭さ」から解放し、「おしゃれで楽しい」ものに変えた。