モーター駆動でも五感に響く「エンジンサウンド」

 走行シーンを基に考えると、発進時や市街地での走行ではEV走行が主体となる。この場合、エンジンは停止しており、走行用モーターのみでクルマが動く。

 次に、高速道路への合流など力強い加速を必要とする場合、エンジンがかかり発電用モーターが起動し、生み出される電力はバッテリーを経由して走行用モーターに伝えられる。

 そして、ホンダ独自の技術が、高速道路などでクルージングしている際、クラッチを使ってエンジンを直結して走るモードだ。この場合、発電用と走行用のモーターはいずれも動かない。

 こうしたe:HEVを次世代化するための開発キーワードが「五感に響く技術」だ。

ホンダのハイブリッド技術は1999年の初代「インサイト」から始まった。技術説明会での展示(写真:筆者撮影)

「五感に響く技術」の代表格が、「Honda S+ Shift」である。これは、2020年に発売した「フィット」のe:HEVから搭載している、車速とエンジンサウンドを連動させる制御技術「リニアシフトコントロール」を進化させたものである。モーター駆動ながら、ギアシフトで回転数が上がっていくエンジン音のようなサウンドを演出する。2025年発売予定の新型「プレリュード」を皮切りに、次世代e:HEV搭載の全モデルに順次搭載する。

 そのプレリュードだが、今回試乗した車両は量産型とほぼ同じ仕上がりのプロトタイプだ。

 車体は現行「シビック タイプR」がベースで、さらに乗り心地の良さを加味したセッティングを施した。

 そこに現行「シビック e:HEV」のエンジンを搭載し、さらに「Honda S+ Shift」を設定している。

 走り味は、タイプR的な尖ったスポーティ性と、ハイブリッド技術による上質かつ次世代感覚が上手く融合している。

 ドライブモードが、「コンフォート」「GT」「スポーツ」の3つに変更でき、それぞれに対してHonda S+ Shift がボタン操作で簡単にオン・オフできる。

 つまり、合計6パターンのモードが楽しめるのだが、エンジン音に加えてアクティブサウンドコントロールによる音の演出にはっきりとした違いがある。

 音だけではなく、例えばスポーツモードでHonda S+ Shiftをオンにすると、減速時に自動的にシフトダウンが入り、コーナー入口でクルマの挙動が落ち着く。

 さらにコーナー中のアクセルワークに対するアクセル反応が鋭くなり、走りの楽しさが倍増した。

 乗っていて、実にワクワクするクルマだ。 

 もう1台の試乗車は、現行「ヴェゼル」に次世代小型e:HEVを搭載したものだ。