GO SHUTTLEとして運用する際、「シャトル運行中」と表示する。それ以外は、通常のタクシーとして運行する(写真:筆者撮影)

タクシーアプリ「GO」が、新たなサービスを始めた。相乗りすれば、タクシー運賃のほぼ半額で利用できるというもの。米国型のライドシェアに近いサービスともいえ、鳴り物入りで始まった日本のライドシェア界隈に一石を投じる格好だ。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 昨年秋から今年春にかけて、大きく報道されることが多かったライドシェア。自家用車をタクシーのように使う公共交通のことだ。

 ライドシェアは日本に先駆けて欧米や中国で規制緩和が進む一方で、国や地域によっては社会状況に応じて廃止されたり法規制が強化されたりしている。

 鳴り物入りで始まった日本でのライドシェアだが、果たしてこれから一層の普及が進むのか、気になるところだ。

 そうした中、地域交通の手段として興味深いビジネスモデルが登場した。

 アプリを使った移動サービス大手のGOは12月11日から、東京の湾岸エリアで相乗りサービス「GO SHUTTLE(ゴーシャトル)」を開始した。それに先立ち12月10日に都内で会見を開き、報道陣向けにサービスの詳細を説明した。

GO SHUTTLEに携わる関係者。都内で開催された、GO SHUTTLE 説明会にて(写真:筆者撮影)

 その中で、GOの中島宏社長は相乗りサービスに取り組む2つの背景を説明した。

 1つ目は、「(必要な時に)タクシーがつかまらないという声が完全に消えていない」ことだ。

「完全に消えていない」とは、直近でのタクシードライバー数の増加や、ライドシェアの導入による供給量増でも対応できていない需要があることを指している。

 タクシードライバーはコロナ禍で退職者が増加したため、総数としてコロナ禍前と比べて約2割減少していた。それが最近では回復傾向が顕著となり、来年にはコロナ禍前とほぼ同じ水準に戻るという見方があるという。

 また、ライドシェアについては、国土交通省が4月に解禁した、タクシー事業者が運用して一般ドライバーが運転する「自家用車活用事業」を指している。

 自家用車活用事業は、日本型ライドシェア、または日本版ライドシェアと呼ばれるもの。地域によって深夜や早朝などタクシーの供給量が減る時間帯、また雨天時やイベント開催時などタクシーの需要に対して供給が追いつかない状況に対応することを目指している。

 2つ目は、渋滞への対策だ。