連覇した名馬たちの名レース
「有馬記念の連覇」といえば、すぐに思い浮かぶ馬が4頭います。
新しいところでは(といっても、すでに20年以上経過していますが)、第47回・48回(2002年・03年)優勝のシンボリクリスエス、そして第43回・44回(1998年・99年)のグラスワンダー。
さらに時代を遡り、第29回・30回(1984年・85年)のシンボリルドルフ、第14回・15回(1969年・70年)のスピードシンボリです。
スピードシンボリの大きな活字がスポーツ新聞の1面を飾っていた時代から始まるのが私の競馬史になりますが、ルドルフ、クリスエスのシンボリ勢、グラスワンダーはリアルタイムで応援していました。
スピードシンボリは、現在の満年齢ですと、6歳と7歳時に連覇しています。2着はどちらもゴール前でシンボリに肉薄したアカネテンリュウ、着差はハナ差、クビ差ときわどいものでした。
スピードシンボリを母馬の父に持つシンボリルドルフの連覇は、2レースとも後続馬を寄せ付けず着差以上に圧倒的な強さを感じさせる勝利でした。有馬記念の歴代レースの中で最も落ち着いて見ていたのがルドルフの連覇だったときのような気がします。強かった。
同じ連覇の瞬間でも、シンボリクリスエスとグラスワンダーのゴール前は対照的で、シンボリクリスエスが2着馬につけた着差の9馬身差は今でも有馬記念の歴代最大着差となっています。このときのクリスエスも強かった。対してグラスワンダーの連覇はスペシャルウィークとの鼻差の激闘で、まさに薄氷を踏む勝利でした。
連覇ではありませんが、惜しかったのは第33回と第35回の隔年で優勝したオグリキャップで、第34回(1989年)の有馬記念に優勝していれば3連覇という前人未到の大記録を残せたかもしれませんが、このときは勝ったイナリワンから5馬身ほど離された5着に敗れています。
同じく3連覇を逃した例としてオルフェーブルも第56回と第58回で優勝していますが、第57回のときはフランス遠征(凱旋門賞2着)、そして帰国後はジャパンカップに出走(2着)して疲労残りだったことから回避しています。
ということで、今年の有馬のゴールシーンはどうなりますことやら。武騎手を背にドウデュースが連覇で有終の美を飾るのか、はたまた最多勝騎手の威信をかけてルメール騎手がアーバンシックで一矢報いるのか、それとも伏兵出現で我々を驚かせてくれるのか。毎年のことながら、今年も有馬は必見です!
(編集協力:春燈社 小西眞由美)