政治家も「感じが良くなった」のはなぜ?
そのなかには国会議員もいれば、都道府県議会議員などの地方議員も含まれるし、これから政界に打って出ようという候補者の人たちもいる。一昔前のように議員会館の自室で平気で喫煙しながら打ち合わせをするような議員は減ったし、にこやかにもてなしてくれる人が増えた。
政治家になるにあたって、国会議員の場合には小選挙区で数万票程度の支持が必要だ。参院東京選挙区をはじめとする大都市地域の参院選挙区トップ当選の場合のように数十万〜100万票程度必要になる場合もある。
地方選挙の場合は相当にばらつきがあるが、それぞれの地域で1000〜数千票程度が求められる。それだけの人に認知され、自分の名前を書いてもらうというのは並大抵のことではない。
学校を含む地域の行事で政治家を見かけた記憶がある人もいるだろう。祭事をはじめ地域の行事で政治家をよく見かけるのは、彼ら彼女らにとって地元の住民が一箇所に多く集まっていてとても効率が良いからである。
学校や行事にも保護者や親族が詰めかけている。みんな挨拶を通じて、認知を広げたいのだ。できれば良い印象で。
いっそ好印象の獲得こそが一般的な行動原理なのだと考えたほうが政治家の振る舞いは理解しやすいかもしれない。
「政治家も感じが良くなった」とか「会ってみたら、案外、民間人と変わらなかった」という声も聞くが、それは端的に「感じが悪い」と当選できなくなりつつあるからだ。
小選挙区制も拍車をかけている。小選挙区比例代表並立制を採用する衆議院の選挙区選挙はひとつの選挙区から一人しか当選できない小選挙区制を採用しているが、参議院の選挙区選挙も一票の格差是正が進み事実上の一人区が増えている。
参議院の定数は248で100人が比例代表選出、148人が選挙区選出になっているわけだが、後者が選出される45選挙区のうち32の選挙区が一人区になっているから7割近くである。