欧州・ロシア「全面戦争」の可能性は?

 この2日前には独連邦情報局(BND)のブルーノ・カール長官が、ロシアのハイブリッド戦が今後さらに強化されると予測した。それにより、北大西洋条約機構(NATO)は今後、条約第5条の発動を検討するリスクが高まるとも述べている。第5条には、NATO加盟国が攻撃を受けた場合、他の加盟国も反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使が規定されている。

 ただし米ポリティコは、ロシアによるハイブリッド戦はNATOに第5条を発動させない程度に慎重に調整されていると指摘している。そして、どの程度までなら逃げ切れるかを見極めるために、徐々に圧力を強めているのだという。

 以前も書いた通り、こうした攻撃を末端で担う主な工作員は、通信アプリのテレグラムなどを通じてロシアによって調達された、使い捨て要員のようだ。ポリティコはこうしたコスパの良い工作員はテクノロジーに通じ、主に犯罪歴のある20〜30代の若い男性だとしている。

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 こうした使い捨て工作員は、例えばドイツで火災を引き起こした発火装置を自身が設置したことなど、知らなかった可能性もあるという。日本で問題となっている「闇バイト」に似た構図かもしれない。

 ロシアによるという一連の破壊活動が欧州域内で横行していることは、しばらく前から取り沙汰されてきた。使い捨て要員が好き放題に放火など破壊工作を続けていることは、国家にとって由々しき事態だろう。それにもかかわらず、これまで欧州による確固たる対策が取られてこなかったのはなぜか。