共同通信社の誤報記事を加盟社各社が掲載
日韓の外交を揺るがす大誤報は、なぜ起きたのか。共同通信社の内部資料を見る前に、「共同通信社とは何か」をおさらいしておこう。
共同通信社は営利企業ではなく、一般社団法人だ。戦前の国策通信社「同盟通信」が戦後、連合国軍総司令部(GHQ)によって共同通信、時事通信、広告の電通に3分割され、共同通信はその後、世界有数の通信社に成長した。配信記事をほぼすべて使用できる「加盟社」は有力地方紙など60社以上。このほか、民放各局やスポーツ新聞社などにも記事を配信しており、報道界での影響力は極めて大きい。
誤報となった2022年8月15日の配信は、当時の閣僚らが靖国神社を参拝したことを伝える記事。配信を受けた加盟紙は翌16日の朝刊や電子版で、それぞれ「2閣僚が靖国参拝 首相は私費で玉串料奉納 終戦の日」(東奥日報=青森県)、「高市氏と秋葉氏、靖国参拝 首相は私費で玉串料 中韓反発」(信濃毎日新聞=長野県)といった見出しをつけ、一斉に報道した。
生稲氏に関わる部分は記事の末尾にあり、次のように記されている。
〈(略)自民党では萩生田氏のほか、小泉進次郎元環境相、生稲晃子参院議員ら20人超が参拝。内閣府の和田義明副大臣、鈴木英敬政務官らも個別に訪れた。超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、代表者が参拝する予定だったが、代表者自身が感染したため取りやめた。〉
共同通信のこの配信を掲載したのは30社前後だったとみられる。