年齢を重ねても、異性を惹きつける魅力とは

 ミシガン大学のキャサリン・マッキノン博士は、年齢差カップルは恋愛の不均衡な形態で、「女性の従属によるエロチック化の促進」、社会運動家のスーザン・ソンタグは「若い女性が中高年男性に向けるのは自然なものではなく、その動機は富、もしくは権力構造による」と主張する。

 だが果して本当にそうだろうか。

 確かに金銭目的で、裕福な中高年に近づく若い女性もいるだろう。

 では裕福でなく、また著名人でもない中高年男性には、年齢差カップルの成立は不可能なのか。

 もし可能だとしたならば、好みの異性の気を惹くための魅力に、普遍的特徴や実践的手法はあるのか。

 ここで異性を惹きつける根本的な魅力について紐解いてみたい。人を惹きつけるには生物学的および社会的という2つの側面がある。

 生物学的視点で言えば、人間は動物界の一員である。

 生物の魅力的要因、それは意識的にコントロールしにくい交尾行動が最終目的にあり、そこに愛とか魅力といったものは必ずしも不可欠な要素ではない。

 一方で、社会的視点で言えば、人は外見と性格の相互作用により、異性を惹きつけるか否かが分かれる。

 模範的行動や思考といった性格特性を保持する者は、外見がより魅力的に見える傾向がある。

 愛と人間行動の研究の専門家インディアナ大学キンゼイ研究所の上級研究員・人類学者ヘレン・フィッシャー博士は、男性も女性も、そのほとんどがより魅力的だと思う異性を追い求める傾向があり、恋愛を「欲望」、「魅力」、「愛着」の3つの異なるカテゴリに分類した。

 人類は交尾と生殖のために、「欲望(性的満足への強い欲求)」、「魅力(強い幸福感と、魅力を感じる相手に近づきたいという欲求)」、「愛着(長期的な快適さ、安心感、深い感情と一体感)」、この3つの中核的な心的システムを進化させたと博士は提唱している。

 博士は、すべての人間に共通するのは生殖戦略であり、恋愛感情は交尾エネルギーを一度に1人の相手に集中させるために進化してきたという。

 それは、愛する人とのセックスによって激しいエネルギーがスパークし、恍惚感、感情的な依存、分離不安、所有欲といった心的反応、そして心臓の鼓動や息切れなどの身体的反応などにより、愛する人の存在が、より特別な意味を持つようになるというのだ。

 肉体的な欲望と、より深い感情的な魅力の双方が基盤となり、異性への愛着はつがいの絆を構築する。

 フィッシャー博士は、深い愛着と愛情を長期にわたり維持するためには、定期的なセックスやペッティングなどの身体的接触でオキシトシン系を活性化させ、新たな性的刺激と活動でドーパミン系を活性化させる。

 そして、パートナーへの優しい声がけや配慮などでコルチゾールとコレステロールを減少させるなど、「神経化学を活用するべき」と主張する。

 異性を惹きつける魅力とは、外見、性格、民族、宗教、年齢、類似性や共感、社会的経済的地位など各人固有のもので、考慮すべき変数が無限にある。

 よって、異性の気を惹く普遍的な定義は存在しない。だが、天は自ら助くる者を助く、である。

 裕福でなく、また著名人でもない中高年男性であっても、努力次第で若い女性を惹きつけることは可能である。

 まずは、思いやりがあり優しい、誠実で謙虚、包容力がある、人生経験が豊富、清潔でオシャレな外見、衰えない好奇心と行動力、博識で話題が豊富、ユーモアがあって一緒にいて楽しいといった要素を磨きに磨く。

 さすれば「年齢はあくまで数字」となり得るだろう。

 確かにハードルは高い。だが、「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」なのである。