中国メジャーの協力を期待するロシアの皮算用

 ロシアの主力油田は西シベリアにあるが、その枯渇がかねてより懸念されており、東シベリアの開発が急務となっている。一方で、ウクライナとの戦争で米欧の資源メジャーや投資家によるノウハウやマネーの提供は見込み難くなった。ロシアとしては、友好関係にある中国が協力の手を差し伸べる展開に期待したいところである。

 中国石油化工集団(Sinopec)や中国石油天然気集団(CNPC)、中国海洋石油集団(CNOOC)といった中国の資源メジャーは着実に成長しており、米欧の資源メジャーにも渡り合えるノウハウを有している。こうした企業がロシアの石油産業に対してノウハウやマネーを提供するにしても、それは中国に実利があると判断される場合だろう。

 中国にとっての実利とは、ロシアから安価で安定した石油の供給が実現することに他ならない。それに資すると判断されるプロジェクトなら、中国メジャーもロシアに協力するだろう。しかし、ロシアが石油会社3社を統合する理由が中国やインドに対する価格交渉力を改善させることにあるなら、ロシアと中国の利害は合致しない。

 10月22日から24日かけてロシアのカザンで開かれたBRICS首脳会議では、ホストとなったウラジーミル・プーチン大統領の意向から、ロシアと中国が協力して新興国をまとめ上げるかのような演出がなされた。とはいえ、中国は常に実利的である。自らの利益に適うものだと判断しない限り、中国はロシアからの協力要請など受け入れない。