2024年11月3日、全日本大学駅伝、3位でゴールする青学大の塩出翔太 写真/日刊スポーツ/アフロ

(スポーツライター:酒井 政人)

青学大は中盤独走するも3位に沈む

 國學院大が狙い通りの初優勝を飾った全日本大学駅伝。他に「優勝」を意識していたのが青学大、駒大、創価大だ。3校はそれぞれ“見せ場”を作りながら、栄冠には届かなかった。敗因はどこにあったのだろうか。

 6年ぶりの優勝を目指した青学大は絶好の展開に持ち込んだ。創価大・吉田響(4年)を“ペースメーカー”に利用した2区の鶴川正也(4年)でトップを奪取。國學院大に54秒差をつける。

 3区の折田壮太(1年)が創価大を引き離すと、4区の黒田朝日(3年)が区間賞・区間新。4区終了時で國學院大に1分27秒差をつけて独走態勢に入った。

 しかし、5区と6区で國學院大の猛攻を受けて、6区終了時で4秒差まで詰め寄られる。それでも7区の太田蒼生(4年)がマラソン学生記録保持者・平林清澄(4年)とのデッドヒートに先着して、最初に最終8区にタスキをつなげた。

 ただアンカーの塩出翔太(3年)が区間15位と大苦戦。9km過ぎで國學院大に引き離されると、駒大にも逆転を許して3位でレースを終えた。

「まさか塩出が3番まで落ちるとか思わなかった……」と原晋監督は絶句した。塩出のブレーキは想定外だったかもしれないが、例年と比べて、つなぎ区間の力強さも物足りない印象だった。

全日本大学駅伝、優勝した國學院大の前田康弘監督と握手を交わす青山学院大の原晋監督(左) (写真:日刊スポーツ/アフロ)

 それでも収穫はあったようで、「出雲駅伝は勝ったと思った場面が一箇所もありませんでした。でも今回は2区鶴川と4区黒田のタイミングで勝てるチャンスがあるかなと思いました。ホップ、ステップ、ジャンプではないですけど、明るい兆しがありますよ。負けた悔しさを肯定的にとらえてチャレンジしていきたい」と、得意とする箱根駅伝に向けて力を込めた。

 前回の箱根駅伝は2区黒田、3区太田が連続区間賞。5区若林宏樹(4年)も区間2位(区間新)と快走した。さらに今季は鶴川が出雲1区、全日本2区で区間賞を獲得。鶴川が1区に入ることになれば、往路は大本命になるだろう。