(スポーツライター:酒井 政人)
青学大は中盤独走するも3位に沈む
國學院大が狙い通りの初優勝を飾った全日本大学駅伝。他に「優勝」を意識していたのが青学大、駒大、創価大だ。3校はそれぞれ“見せ場”を作りながら、栄冠には届かなかった。敗因はどこにあったのだろうか。
6年ぶりの優勝を目指した青学大は絶好の展開に持ち込んだ。創価大・吉田響(4年)を“ペースメーカー”に利用した2区の鶴川正也(4年)でトップを奪取。國學院大に54秒差をつける。
3区の折田壮太(1年)が創価大を引き離すと、4区の黒田朝日(3年)が区間賞・区間新。4区終了時で國學院大に1分27秒差をつけて独走態勢に入った。
しかし、5区と6区で國學院大の猛攻を受けて、6区終了時で4秒差まで詰め寄られる。それでも7区の太田蒼生(4年)がマラソン学生記録保持者・平林清澄(4年)とのデッドヒートに先着して、最初に最終8区にタスキをつなげた。
ただアンカーの塩出翔太(3年)が区間15位と大苦戦。9km過ぎで國學院大に引き離されると、駒大にも逆転を許して3位でレースを終えた。
「まさか塩出が3番まで落ちるとか思わなかった……」と原晋監督は絶句した。塩出のブレーキは想定外だったかもしれないが、例年と比べて、つなぎ区間の力強さも物足りない印象だった。
それでも収穫はあったようで、「出雲駅伝は勝ったと思った場面が一箇所もありませんでした。でも今回は2区鶴川と4区黒田のタイミングで勝てるチャンスがあるかなと思いました。ホップ、ステップ、ジャンプではないですけど、明るい兆しがありますよ。負けた悔しさを肯定的にとらえてチャレンジしていきたい」と、得意とする箱根駅伝に向けて力を込めた。
前回の箱根駅伝は2区黒田、3区太田が連続区間賞。5区若林宏樹(4年)も区間2位(区間新)と快走した。さらに今季は鶴川が出雲1区、全日本2区で区間賞を獲得。鶴川が1区に入ることになれば、往路は大本命になるだろう。