録音されていた聴取のやりとり
実は、石川は田代の聴取に臨んで、カバンの中にICレコーダーを潜ませていて、田代とのやりとりをすべて録音していた。この内容を文字に起こした記録がすべて小沢の法廷で明かされる。そこには捜査報告書と真逆のことを石川が語っていたことが記されていた。
そこで田代検事を法廷に呼び、証人尋問で追及したのが喜田村だった。
「とにかくあの人は、検察が大嫌い」
そう関係者が評するほどに、喜田村の追及は厳しかった。
その石川の録音内容には、こんなものまであった。
田代「検察が石川議員を再逮捕しようと組織として本気になった時に、まったくできない話かっていうとそうでもないわけじゃない」
石川「1月13日の強制捜査の前に早く認めないと、『ここは恐ろしい組織だから、なにするかわからないぞ』と、田代検事が諭してくれたことがありましたよね」
田代「うん、うん。いま現在(小沢さんは)起訴されてないし、我々の作戦は功を奏しているというふうに考えていいと思うんだよね」
つまり、小沢の逮捕・起訴の回避を条件に自供を迫ったというのだ。このことを指摘し、追及する喜田村は普段の温厚さからは想像もできないほどに、眉間に皺を寄せ、口から泡を飛ばすほどに厳しい口調で検事を追い詰めていく。
その正論を背負った剣幕に、返答にも窮してタジタジになる田代。まったく、どちらが罪を追及する検事なのか、わからなくなるほどだった。本当に、検察が嫌いなのだと知った。