20年選挙での勝利を拡大解釈したツケ

 バイデンについて言えば、2020年の勝利を拡大解釈したことを責めることもできるだろう。

 あれはトランプが新型コロナウイルスのパンデミックへの対応を誤ったことの結果であって、米国の民主主義の健全性に対する懸念の結果ではなかった。

 バイデンはパンデミックを終わらせ、米国の政治に正常さを取り戻すことを約束することによって勝利を収めた。

 しかし、党の指名獲得と大統領就任の間のどこかで、自分が大変革を断行する許可を得たと考えるようになった。

 1.9兆ドルに上る過大な景気刺激策は、供給サイドの混乱のためにすでに高進していたインフレに油をそそいだ。

 確かに、トランプは――今ではステロイドを打った形で呈するように――米国の憲政秩序に重大な脅威を突き付けた。

 それにもかかわらず、バイデンは司法長官にトランプの責任を追及することを急がないメリック・ガーランドを選んだ。

 歴史家は将来、この人選について首をかしげるだろう。

 2016年の選挙でのヒラリー・クリントンの敗北と同様、ハリスの敗北にも多くの人の指紋が残される。

 だが、今回は外国の悪役を責めるのがはるかに難しい。

 ロシアのウラジーミル・プーチンは間違いなく、特にウクライナでトランプ再選の大きな利点を見いだすだろう。

 だが、明らかな助けもなくトランプを大統領の座に返り咲かせたのは米国人だ。

 いずれにせよ、次に何が起きるかを理解することと比べると、民主党の責任のなすり合いなどは二の次だ。トランプは復讐を誓った。これは本気だ。