民主党は存亡の危機、責任のなすり合いに

 民主党内では、すぐに激しい責任のなすり合いが生じる。

 敗因の分析は間違いなく、目に見えて老いたバイデンが党の指名候補の座を降りるのをあまりに長く待ちすぎたという事実に焦点を当てるはずだ。

 もしバイデンが6か月早く身を引いていれば、民主党はハリスよりも勝算がある候補者を見つける時間があった。

 本当の予備選挙があったとしても結果は変わらなかったかもしれない。

 公正を期するために言えば、ハリスは円滑な選挙キャンペーンを展開し、唯一の討論会でトランプを打ち負かし、民主党を団結させた。

 だが、経済の話になるたびに、よくても凡庸なことしか言えなかった。経済はハリスが必死になって避けるトピックだった。

 説得力のある経済的ナラティブを欠くことは、米国のどんな選挙においても大きな欠点となる。

 競争の激しい予備選は、これを見つけられただろう。

 あまりにすんなりと王冠を受け継いだことから、ハリスは欠点を正す時間も動機もほとんどなかった。

 それでも、自分がバークリー(カリフォルニア州)の急進主義者ではないことを証明するために「シスター・ソウルジャー・モーメント」を演出することはできたはずだ。

 ビル・クリントンは1992年、シスター・ソウルジャーという黒人作家の過激な発言を批判することによって自分が古風なリベラルではないことを世間に示し、それが彼を大統領に選べる人物にすることに役立った。

 ハリスは16週間の短い選挙戦の間、かなり極端な進歩的な大義とのつながりを慎重に避けた。

 だが、例えば開かれた国境や警察の予算削減といったものに以前示した支持を、説得力を持って否定することはなかった。