社会保険料負担も含めた包括的な見直しが不可欠
基礎控除を75万円引き上げたことによる減税効果は、年収210万円の人が約9万円、同500万円の人が約13万円、基礎控除が満額受けられる上限に近い同2300万円の人だと約38万円となる。こうした数字を見ると「高額所得者優遇」との指摘を受けかねない(実際、そういう指摘も出ている)。
好調な企業業績を背景に法人税の申告所得金額は2023年度まで3年連続して過去最高を更新しているが、基礎控除引き上げによる7兆6000億円の税収減は財務省からの抵抗も強そうだ。
加えて、健康保険や年金の財政危機から国は社会保険の適用拡大を目指しており、「年収103万円の壁」突破には社会保険料の負担も含め包括的な見直しが求められるようにも思う。
とはいえ、「年収103万円の壁」引き上げに向けた協議はまだテーブルにも着いていない。どんな“落としどころ”を見つけるのか。議論の行方を見守りたい。