合理的な振る舞いを見せる国民民主党

 選挙戦終盤や投開票日直後には政権交代への期待感もあったが、眼下の政権交代の可能性はそうそうに相当小さくなった。

 今回、前回7から28まで議席を伸ばした国民民主党が極めて合理的な振る舞いを見せていることに起因する。

 国民民主党は今回比例で候補者が足りなくなり、3議席を他党に譲る大躍進を見せた。その後も次々にキャスティング・ボートを握る自らの役割を踏まえつつ、同時におそらくは来年の参院選やその先にある政権交代が現実味を帯びる「次の総選挙」が脳裏にあるのだろう。

 目先の新しい支持者だけではなく古参支持層の目も意識した打ち手が目を引く。

 国民民主党は30日に役員会を開いて、首班指名選挙では玉木代表の名前を書くことを決めた。

国民 首相指名選挙 決選投票含め玉木代表投票方針で了承 | NHK

 首班指名選挙は自民党総裁選挙と似ている。衆議院規則によって、記名投票であることや、過半数獲得者が出た場合にはその者を、出なければ上位2名による決戦投票を行う(あまり紹介されていないが、決選投票で同数の場合にはくじ引きで決める)。

第二章  内閣総理大臣の指名
第十八条  内閣総理大臣の指名については、記名投票で指名される者を定める。
2  投票の過半数を得た者を指名される者とし、その者について指名の議決があつたものとする。
3  投票の過半数を得た者がないときは、第八条第二項の規定を準用して指名される者を定め、その者について指名の議決があつたものとする。
4  議院は、投票によらないで、動議その他の方法により、指名することができる。(衆議院「衆議院規則」より引用)

 28人の衆議院議員を擁する国民民主党は、首班指名選挙で玉木代表の名前を書くことが意味することは何か。

 あわせて国民民主党が連立入りを拒否していること、与党と幹事長、国対委員長を交えた政策協議を開始しながら、立憲からの代表協議の打診を拒否したことなどをあわせて考えてみることが重要になってくる。