ロシア軍の兵力不足は深刻、戦死者20万人の衝撃

 今年10月初めに英国防省が公表したデータに世界中が衝撃を受けた。

 この戦争でのロシア軍の1日平均死傷者数が、2024年9月に1271人に達し、これまで最高だった同年5月の1262人を上回ると言及したからだ。さらに戦争勃発以来の累計で、死傷者は64万8000人以上になる可能性があるともつけ加えた。

 死傷者数が増えた理由として、「ウクライナ軍によるロシア西部クルスクへの逆侵攻による戦闘激化」などと同省は分析。東部ドネツク戦線によるロシア軍の無謀な「肉弾戦」も主因の1つと見ていいだろう。

 また米ウォール・ストリート・ジャーナル紙も9月に「露軍死者20万人、負傷者40万人」と報じた。仮に「20万人」が事実なら驚愕の数字で、ベトナム戦争(1960~1975年)での米軍の戦死者約5万8000人よりもはるかに多いことになる。

 これを裏付けるように、ロシア軍の兵力不足はかなり深刻なようで、耐えかねたプーチン氏は今年9月16日、国民に不評の兵力増強を指示せざるを得なかった。

 2026年までに軍の兵士定員を18万人増の150万人にする計画だが、2023年12月に115万人から132万人に増強する大統領令に署名したばかり。ゼレンスキー氏の“消耗戦略”が、ボディーブローのようにロシアに効き始めているのかもしれない。

兵力増強を指示するロシア・プーチン大統領だが…兵力増強を指示するロシア・プーチン大統領だが…(写真:© Iranian Presidency/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)